株式会社コトブキ(以下、コトブキ)は、東京都港区に本社を置く家具製造および販売企業です。「椅子のコトブキ」として始まり、創業は100年を超えます。同社は創業以来、公共施設や都市、観光地などのオープンスペースを中心に空間作りに取り組んできました。その過程で培われたFRP技術を活かし、1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)では『太陽の塔』の顔モデルの原型を製作したこともあります。
同社では元々ファイルサーバー上で図面およびBOM情報の管理・共有を行っていました。2020年からはより一層の業務効率化ならびにプロダクトデータマネジメントの必要性を感じ、複数の生産管理システムを導入します。しかし、デジタルに深い知見が蓄積されていない段階で選定が進められたため、導入したBOMシステムを活用するには程遠く、製品情報管理システム(PDM)に至ってはデータサーバーのような扱いとなっていました。
実際に現場でこれらのサービスを運用する設計部にはシステムの利活用が十分に浸透しておらず、既存システムに対する不満は高まるばかり……一方で、具体的な解決策が見出せない状況に頭を抱えていました。今回、この現状を打破し、生産性をより一層向上させるためにご導入いただいたのが「PRISM」でした。
取材対応者:株式会社コトブキ
設計開発本部 設計部 副本部長/部長 横田様
設計開発本部 設計部 製作設計課 チームリーダー 根本様
「業務改革のさらなる一手に」進まない既存システムの利活用改善を目指し、導入を決意
既存システムの現場での効果的な利活用が進まないことを受け、会社からの指示で副本部長の横田様を中心としたチームはシステムの再選定を行いました。さまざまな調査・検討を進めるなかでコトブキが出会ったのは「PRISM」でした。Thingsの担当者からサービスの説明を聞いた際、この会社となら面白いことができるかもしれないとチームは感じたそうです。
横田様は設計部の面々に初めて「PRISM」を紹介した時を次のように振り返ります。「メンバーたちはすぐにサービスの必要性を理解し、さらなる業務改革の一手になればと導入に前向きな気持ちを示してくれました」

導入にあたり、初期段階の推進メンバーは設計部のみで構成され、人数も4〜5名と最小限の体制で進められました。他部署からのメンバー選出も考えましたが、初期段階ではあえてメンバーに加えることはしませんでした。この背景には、サービスを一番使うメンバーが本当にやりたいことに取り組めるよう、自由な発想かつ、これまでの常識に縛られない議論ができる環境をつくりたいという想いがありました。
技術情報の一元管理と部署連携の実現により、約10〜20%の業務削減に成功
「PRISM」導入時、課題の1つとされていたのが技術情報の一元管理と他部署への展開です。元々コトブキでは図面やBOM資料がさまざまな場所に保管されており、その確認や捜索の業務に追われた設計部内では度々伝達ミスが生じていました。また部署外でも情報の連携が不足しており、製造部や営業部などの他部署から「どれが最新版の図面ですか?」などの問い合わせがよく届いていたそうです。
「PRISM」の導入によって、文書・資料・製品データ・生産情報といった技術情報の一元管理が可能となった結果、部内の伝達ミスは減少しました。また検索性の向上により、「業務効率がより一層促進された」と製作設計課の根本様は話します。
「PRISM内を探せば必ず情報が見つかるため、探す時間が短縮されました。それだけでなく、過去の製品情報を簡単にコピーすることもできるので、流用設計の効率も上がりましたね。これまでの設計情報が一カ所にまとまっていることはそれだけで1つの財産だと思います。今後、情報が増えてくると、相乗効果でデータベースとしての価値も上がるはずです」(根本様)

他部署連携との連携という点においても、「PRISM」は効果を発揮しています。その1つが、情報ソースとしての活用です。「PRISM」なら設計図のリンクを送るだけで共有が可能となります。導入以前は、問い合わせのあった図面を設計部員がいちから探し、メール添付で送っていたそうです。リンク共有機能は他部署からも好評で、設計部としても業務時間の短縮につながりました。
「設計図はデータ容量が大きいため、以前はメールにアップロードする時間でコーヒー休憩ができたぐらいです(笑)。今では捜索もアップロードの時間も短縮できました。他部署からもリンクの共有は便利と言われています」(根本様)

「操作回数も待ち時間も大幅減少した」クラウドシステムの導入は生産性向上にもつながる
ユーザーにとって触りやすいシステムかどうかも、「PRISM」導入時における大切な検討要素でした。設計部内では1日に何度もPDMやBOMツールを使用するため、検索時間やシステムの処理速度は業務効率に大きな影響を及ぼします。「同じ業務を行うならば、ワンクリックでも少なくし、1秒でも待ち時間を減らしたい」と根本様は話されていました。
しかし、以前導入していたシステムはオンプレミスだったためか、応答速度が社内サーバーのスペックに依存していました。そのため現場で十分な処理速度を発揮することができず、生産性の低下につながっていました。「設計図のファイル容量によっては、ダウンロードだけで10〜15分かかることもありました」(根本様)
一方「PRISM」は高性能なクラウドサーバーにアクセスできるため、レスポンスそのものが早くなり待ち時間が大幅に減少しました。また、操作が簡単で分かりやすくなったことから、導入から1ヶ月もしないうちに、設計部メンバーからは「以前よりも直感的に操作ができ、ユーザーの意図を反映してくれるシステムだからか業務が楽になった」という声が挙がっていたと根本様は言います。
コトブキ設計部の皆様が、「PRISM」で特にお気に入りの機能は「一括ダウンロード」です。「これまで一つ一つダウンロードしていたBOMや図面が一括でダウンロードできるようになり、業務が効率化されたと感じました」(根本様)
データをマスタ管理しているため、データ量が増えても処理速度が遅くなりにくいのはクラウドシステムである「PRISM」のメリットです。横田様からも「業務速度が落ちることはなく、本当にいいシステムだと感じている」とお褒めのお言葉をいただきました。

全従業員の1/3が利用するサービスへ成長。主体的に効率化を進める組織へ、変化を後押し
コトブキでは、自社主導でデジタル活用を進めるなか、さまざまなシステムを導入しました。しかし、システム選定と実務のイメージが十分にすり合っていなかったため、システムの利活用に対し現場が意欲的に取り組みにくい環境がこれまではあったそうです。
今回の導入では、実務を担う設計部がサービス選定から主体的に関わることができました。導入後も効果的なシステム運用に向けた取り組みが部内では続けられ、今でも「PRISM」に新機能が出ると、率先して触れ、感想を共有し合うそうです。
コトブキ社内が少しずつ主体的に効率化を進める組織へ変化していくなか、根本様は「Thingsのサポートを受け、改善要望などのコミュニケーションを行うなかで部内や社内のITリテラシーも高まった」と話します。「PRISMの活用で設計部のITリテラシーが一段階上がりましたよね。使いやすいシステム環境は与えられるものではなく、皆で創り上げていくものという意識に変わったと思います」(横田様)

最初は設計部を中心に60〜70名だったユーザー数も、現在は製造部などの他部署も併せると約120名にまで増えました。従業員数が約330名(※)のコトブキにおいて、「PRISM」は全従業員の約3人に1人が利用していることになります。
社内浸透が進んだ背景には、機能面だけではなく、利用者に配慮したシステム設計も関係していました。「PRISMはOSに関係なく使えるため、どの部署でも利用ができました。同時アクセス数の増減や処理速度の低下などを気にせずに使えるのも好評な点です」(横田様)
※取材時点の情報です

目指すは「マスタ管理から生産管理までが一元化できる世界」
導入から現在までを振り返るなか、「システムを使い、何かを実現したいのであれば、自分たちから行動を起こすことが重要」と横田様は感じたそうです。システム自体がどれだけ良いものだとしても、主体的に課題解決に向けた取り組みができなくては効果的な利活用ができないからです。根本様も「ゼロから作り上げるぐらいの気持ちでPRISMと向き合えたからこそ上手く進められた」と話します。
今でこそ、時間短縮などの業務効率化を念頭に業務を進めるコトブキ設計部の皆様ですが、「PRISMと出会わなければこれらの業務が簡素化できるなんて気づきもしなかったでしょうね」と根本様は言います。
「図面の管理や部品表、図面の管理など、どれも時間と手間のかかる作業として社内では浸透していたため、PRISMと使っていなかったら、業務に時間がかかるのは当たり前という意識のままだったと思います」(根本様)
コトブキ業務の当たり前とその価値観が「PRISM」によって変わろうとするなか、「マスタ管理から生産管理までが一元管理できるような世界観が実現できたらいいですね」と横田様は話します。
最後に横田様は、今後のPRISM活用に向け、次のように会話をまとめられました。「他部署とも協議をしながら、よりよい業務のあり方を引き続き模索していきたいです。今後のPRISM開発の後押しとなるよう、Thingsとは引き続き情報交換を行いたいです」(横田様)